倍率発表を見て考える福島の未来への不安
投稿日:2020年2月15日
思うところがあり、
しばらく更新から遠ざかっておりました。
ご心配をおかけし申し訳ありませんでした。
また一から、
更新を重ねていきたいと思っております。
大変遅れてしまいましたが、
福島県立高校前期選抜の1次倍率が発表されました。
今年は私立高校の人気が高いと聞いていましたが
これほどまでの状況に驚き、
これからの福島の将来を考えると不安を覚えます。
福島県教育委員会によりますと
全日制の県立高校の平均倍率が0.95倍で
数字上、希望者すべてが県立高校に入れます。
広い福島県、通学するのも大変ですので、
今までも定員割れは起こしていても、
地域の学校を残す、という判断をされていました。
しかし、人口の多いとされていた県北地区でも
同様の事態が起こっています。
県北地区16校、33学科のうち
倍率が1倍を超えている学科が
わずかに9校10学科しかありません。
時折意見交換をしている
二本松市の第一進学塾の鈴木先生も
この状況を危惧されておりました。
無競争状態、これが何を意味するか。
これから入試を控えている受験生や保護者にとっては
ほっと胸をなでおろしているところかもしれません。
いままで不安な気持ちを押し殺して
合格に向けて努力してきたわけですから
その気持ちはよくわかります。
もちろん、実際は合格が決まったわけではなく、
1倍を切っていても不合格にする学校もあるので、
油断はできませんが。
無競争状態において心配なのは
これから高校受験をする中学生や小学生、
そして保護者や学校や地域が、
「勉強しなくても高校行けるんだ」と
思ってしまうことです。
現状、確かにその通りです。
選ばなければ、高校に行けそうです。
苦労して、何時間も机にしがみついて
勉強しなくても
高校に行けてしまいます。
それがどういうことか。
子どもたちの成長する機会をみすみす奪い、
自ら向上する力が身についていない人間を
社会が、私たち大人が育んでしまっている、
ということです。
私は入試というものを通して、
知識を身に付けるだけでなく、
困難に立ち向かう気持ちであったり
自分を向上させる意志の力を
育んでいると考えていました。
合格を通して
「あの時やっておいてよかった!」と
成功の体験を覚えることもあれば、
残念な結果からでも
「自分に何が足りなかったのか」と
自分を省み、貴重な人生の糧を得ることもあります。
なにかしら、
今後の人生にとって支えになるような
経験をするのが入試だと思うのです。
入試は、いわば通過儀礼のようなもので、
成長にとって大事な機会だったと思うのです。
我慢や努力や、
向上の楽しさや、
不安に打ち勝つことや、
家族の支えに感謝する気持ちを知らぬまま、
これからの人生に進むことが
子どもたちの成長をどれだけ妨げてしまうか。
「勉強しなくても高校に行ける」と
考えてしまった福島の子と、
頑張って勉強をしてきた他の地域の子との間に
差は生まれないのでしょうか。
これから挑戦するかもしれない
資格試験の勉強や、
大学入試の勉強や、
就職試験において、
勉強のやり方が身についていない、
勉強への意志を育んでいない、
福島の子どもたちが
乗り越えられるのでしょうか。
福島の子たちの未来、
福島の未来を考えると不安でなりません。
おそらく
この倍率を受けて、
来年度入試では予定されていた統廃合だけでなく、
さらなる定員削減を
断行せざるを得なくなったと思います。
県教委には
福島の未来を考えた一手を、
保護者や私たち地域の一員は
子どもたちの成長を考えた選択を、
子どもたちは
自分の将来を見据えた行動を、
意識的にしていかなければならないと
考えてしまいます。